*最初から和テイスト全開でスタートです。
始まりも襖越しにタイトルが出るのですが、その襖が派手なこと派手なこと。しかしそれがまた見るものを惹きつけてしまうという謎の魅力があります。ゴタゴタした絵が苦手な方はここで引き返してしまうかもしれませんが、個人的にモノノ怪の繊細で独特な描写がとても大好きです。
襖が開く時の音も好き。

*お話が始まると、そこには大きな宿の前にかかる赤い橋に佇む薬売りさんの後ろ姿が。ここで個人的に大好きなのが雨の描写です。
ザーザーと上から下へ落ちるだけでなく、雨の線の先に花の様な模様が付いているのです!別のお話では雪の降る描写もあるのですが、それもまた独特でモノノ怪ならではの描写だと思います。筆者はこの描写がめちゃくちゃ好きです。

*宿の扉が開くとそこにはインパクト大の宿屋で働く男が一人。最初ボーッとしてる様に見えて薬売りさんに普通に話しかけてるのがちょっと面白かったりします。
そしてここでいよいよ主人公である薬売りさんの初セリフ!

『いえいえ、宿を、一晩、お願い、したく』

この一言で読めてしまいそうなセリフをゆっくりと、怪しく、そして最後の方で更にねっとりと言い終わる櫻井孝宏さんの演技力と声に筆者は耳も心も奪われました。
宿屋の女将も思わず頬を赤く染めうっとりとした声を漏らしてしまう程に、薬売りさんの声と話し方、身に纏う怪しくも艶かしい雰囲気は見るものを圧倒しました。

*ここでオープニングに。

タイトル:「下弦の月」
歌:小松亮太×チャーリー・コーセイ

アコーディオン?の高い音がゆったりと和っぽく聞こえてきたかと思うと、今度はノリの良い怪しげな曲調になります。
そして低めの素敵な歌声が聞こえ美しくも怪しげな映像が沢山出てきます。
薬売りさんの黒い横顔のとこ好きですね。クマ塗りだけ色がついているのが堪らないです。
途中の目玉の様なものが沢山出てくるとこはちょっとドキッとしてしまいますね。怖い怖い。
サビの盛り上がりから、最後和服の女の子の人形の目と口がカッ!と開くのは何度見ても「ひえっ!」となります。しかしそれがまた癖になる(笑)

*そして本編へ。
薬売りさんが来た日の夜になりました。
女将と薬売りさんが薬について話してますね。女将のお声素敵だなぁと思っていたらまさかの藤田淑子さん!女将にピッタリの落ち着いたお声です。

*雨の中駆け込んできたのはお腹の大きな志乃という女性。金髪で髪の毛がハートに結ってあるのが可愛い。
志乃はお腹の子も含め命を狙われているという。宿の部屋は満室で面倒ごとに巻き込まれるのが嫌と女将は追い返そうとします。
しかし志乃もお腹の子を守るために必死です。そこで女将は番頭の男にある部屋を用意する様言います。
この番頭の男(徳治)の反応がいちいちオーバーで面白い(笑)

*部屋に辿り着くまでには赤く長い長い階段が。途中人形のようなものが置いてあったりお札が貼ってあったり、そして女将と志乃の会話の合間に聞こえる子どもの声。
ちゃっかり薬売りさんが椅子に座ってるのには思わず笑ってしまいます。何故そこにいるのか(笑)
そして驚きなのはお札の模様がジリジリと変わるシーン。オープニングにも時々現れていた瞳の様な模様に変化しましたね。あの模様が変わるのは一体どういった時なのか…気になります。

*なんとか部屋に到着しましたがこれがまた大きくて綺麗な部屋でした。
またちゃっかり部屋の前に座る薬売りさん。厠がわからないなんて絶対嘘じゃないですか(笑)他のドラマやアニメでも何か調べるときに「トイレどこですか?迷っちゃって」みたいなやつにしか思えず(笑)

*お部屋で横になっていた志乃の前に人形…だるまが転がってきました。そしてそれを「返して!」という子どもが一人…子ども?
見た目がかなり独特で正直お世辞でも可愛いとは言い難いのですが…声はとても子どもらしくて可愛い。
子どもと話す時の志乃はもう既にお母さんといった感じでとても微笑ましいですね。

*寝ている志乃の枕元に怪しげな男が一人。例の命を狙う者のようです。
志乃の顔がちょうどだるまで見えないようになっているのがまた面白い見せ方だなと思いました。構図に気付けないと男を見つけるのもちょっと大変なのですが(笑)

*男から逃げられず志乃とお腹の子は絶体絶命。しかしそこで聞こえてきたのはポキポキポキと、まるで骨が折れる様な音。男の目の前の襖の模様も変わり、志乃が振り返ると男は消えていました。
そして沢山貼られていたお札の瞳の様な模様が開き、全て赤く色づいたのです。
薬売りさんも

『…来た』

と意味ありげな言葉。
男は足をバタつかせ慌てふためいています。ここで一度襖が閉まり、開いた時には部屋の真ん中に薬売りさんが。場面転換の見せ方がとても好きです。

*何の騒ぎかと女将も徳治も部屋に集まってきます。薬売りさんも徳治も上を見ているので天井で男が死んでしまっているのだろうなとわかります。
薬売りさんが疑われてしまいますが、確かに死体の下にいれば疑われても仕方ないかと。
しかしここで志乃さんは何かを見た様で。

『ぐる、ぐる、ぐる、ぐる』

と志乃さんも薬売りさんも何かがぐるぐるしていたと話します。
このぐるぐると話す時、画面も一緒にぐる、ぐる、ぐる、ぐると回るのが座敷童子の一番面白くて特徴的なシーンだと筆者は思ってます。なにより薬売りさんのぐるぐるの言い方が可愛い。
そこからエコー入りでタイトルの

『モノノ怪を、ね』

はズルいくらいカッコいいです!

*ここで少しだけ天井の様子が見えましたね。さすがにあれは人間業ではなさそうです。徳治と薬売りさんのセリフが絶妙なタイミングで掛け合うのがとても小気味良い。
天井の男から滴る雫が落ちた時も花が飛び散るのがまた可愛い。でも男の汗なのかと思うと…考えるのはやめましょう。

*子どもの声も子どもの姿もあるはずないと言う女将と、確かに声が聞こえた、姿を見たと言う志乃。
声が聞こえるのは志乃だけ?そして天井を見ると男の死体が消えています。
開いていた襖が次々と閉まり、子どもの声はあちこちから聞こえます。

*ここで座敷童子二つ目のオススメシーン。
薬売りさんが両手でお札を円を描く様に広げ

『すぐそこまで来ているぞ!』

と叫ぶシーンです。このお札を円を描く様に広げる時の薬売りさんの美しい手と着物の揺れの描写が筆者は堪らなく大好きです!
からのお札が一気にバババッと張り付くシーンもモノノ怪ならでは。
赤く瞳の模様が浮き出るとモノノ怪の姿の一部である赤い布が見える様になりました。

*先程垂れて溜まっていたのは羊水でしたね。汗じゃなくてよかった(笑)
ここで退魔の剣がカチンと鳴りました。
ここからは薬売りさんの有名な口上になります。全文は載せませんが、最後の

『よって皆々様の、真と理、お聞かせ願いたく候!』

と強めに叫ぶ言い方がカッコ良くて好きなシーンです。今まで淡々と話していた薬売りさんが、力強く問いかけ、退魔の剣をパシッと握るところもカッコ良いですね!

*つづくが出たところでエンディング。
まず目につく蝶々が綺麗。影絵のようでとても魅力的です。

タイトル:「ナツノハナ」
歌:JUJU

高く伸びやかな歌声に筆者はすぐに心を奪われました。そして後々JUJUさんの歌であることを知り、もっと沢山の人に知られて欲しいなと思いました。とても綺麗で良い曲なので!!
最後の手のシルエットに止まっていた蝶々が液体のように消える描写もとても綺麗で大好きです。何回も見たい。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
モノノ怪はなんと言っても細かく綺麗な作画と独特な描写が魅力的です。
そして後編で描かれる物語の真と理が一体どのようなもので何を視聴者に訴えかけているのか。そこもモノノ怪の魅力の一つだと思うので、後編も本編を見ながらお付き合い頂けると嬉しいです。